ドキュメントスキャナのScanSnap S1500で裁断した書籍をスキャンする手順を紹介します。使い方は簡単。ただ、解像度やモードの設定で悩むかもしれません。
Last update 2016-12-30 0:40
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自炊の手順を画像と動画で紹介しています。
今回は最も人気のあるスキャナ、ScanSnapを使った書籍のスキャン手順と、解像度やモードの違いや比較を紹介したいと思います。
私は自炊派に人気のドキュメントスキャナ、ScanSnapと2006年に発売されたDR-2050C IIの2つのスキャナを持っているのですが、今回紹介するのは前者のScanSnap S1500。
裁断したスキャン手順と、設定方法を紹介します。
ScanSnapの便利な機能として、原稿をセットする台を開くと自動で電源がオンになる点。
電源を切るときも広げた板を折りたたむだけなんで、電源の切り忘れを防ぐのも役だっています。
ドキュメントスキャナの比較でも書きましたが、ScanSnapはTWINに対応していないのでソフト側から操作するのではなく、スキャンし終わったあとソフトが起動する。という感じです。
なのでScanSnapのブルーに点灯しているボタンを押すだけでスキャンが始まります。
ScanSnapの設定は付属のソフトの1つ、「ScanSnap Manager」で行います。ScanSnap ManagerをインストールしScanSnapの電源をオンにすると、画面右下のタスクバーに画像のような青い丸のアイコンが表示されるので、これを右クリックします。
このようなメニューが表示されるので「Scanボタンの設定」を選択します。
メニューの上の方の「両面読み取り」や「片面読み取り」は、ScanSnapの物理ボタンを押さなくても、パソコン上からスキャンを開始したいときに使う項目です。
「読み取り設定の管理」はスキャン後に立ち上げるソフトなどを設定しますが、ScanSnap Managerで設定できるのでここでは説明しません。
こちらがScanSnap Managerの画面です。
左上の「クィックメニューを使用する」のチェックを外しておきます。(細かい設定が出来るようになります)
複数の設定タブがありますが、この画像は「アプリ選択」タブで、スキャン後に動作させたい項目を設定します。
Acrobatに送ってPDFにしたり、OCRソフトなどにスキャンデータを送ることもできますし、Excelやワードなどビジネスソフトにデータを送ることもできます。
ソフトにデータを渡すだけでなく、スキャンした画像を印刷したり指定したフォルダに保存したり、最近流行のクラウドサービス上に保存することもできます。
右隣のタブ「保存先」をクリックします。
ここではスキャン後、PDFもしくは画像ファイルとして取り込んだデータの保存先を指定します。
スキャンしたデータを他のソフトに渡す場合でも、自動でスキャンしたデータは保存されるのでその保存先を指定します。
「ファイル名の設定」では保存するファイル名の先頭につける名前を指定することができます。
自動で保存されるファイルは、ここで設定したファイル名に数字が連番でついて保存されます。
例えばファイル名の設定で、「本」というファイル名を指定しておくと、スキャンするたびに「本001.pdf」「本002.pdf」・・・のようにファイルが作成されていきます。
隣のタブの「読み込みモード」の設定に移ります。
ここでは解像度やカラーで読み込むか、グレーで読み込むか、白黒で読み込むか、自動で識別させるか設定できます。
スキャン後に起動するアプリによっては、選択できる項目が限定されます。
最高画質で保存してからOCRソフト等に渡したい場合は、一度画像で保存しておいてソフト側からファイルを取り込むほうがいいかもしれません。
また、あとで比較画像を紹介しますが写真やカラー雑誌以外のモノクロの原稿は、グレーか白黒でスキャンしたほうが綺麗に取り込めます。
解像度は、「カラー」「グレー」と「白黒」で同じモードでも違っていて、
になっています。
他のスキャナに比べて解像度の選択が少ないので、選択にあまり迷うことはありませんが、スーパーファインとエクセレントではスキャン速度が全然違ってくるので、用途に合わせて選択したほうがいいでしょう。
グレーで読み込んだ原稿は、コントラストが低く黒が薄いのですが、読み取りモードのオプションで「文字をくっきりします」にチェックを入れておくと、色が濃くなり文字や線がくっきりとした状態でスキャンできます。
他にも白紙ページは自動で削除したり、傾いてスキャンされても補正させることもできます。
以下は、同じ原稿をそれぞれの「解像度」、「モード」、「くっきりオン・オフ」でスキャンした時の結果です。
・スーパーファイン
・グレー
・文字くっきりをオフ
にした時のデータです。
スキャン速度も速く、そこそこ高画質なのでモノクロの原稿に向いています。
ただ、全体的に色が薄いので文字くっきりをオンにしたほうがいいかもしれません。
また、エクセレントに比べると画質が劣るので、高画質で保存しておきたいマンガなどには向いていません。
同じスーパーファインのまま、カラーで取り込んでみました。
いっけん白く見える用紙も、スキャンしてみるとベージュや黄ばみまで取り込まれてしまうので、写真やカラー雑誌以外はカラーでのスキャンはおすすめできません。
この画像だとあまりわかりにくいかもしれませんが、若干ベージュになってしまっています。
白黒モードだと、灰色のような中間色は使われないのでこのようにくっきりとした結果になりました。
iPhoneのような小さな画面で見る文には、あまり気にならないかもしれませんが、あまり画質は良くないです。
スーパーファインのグレーで、文字くっきりをオンにしてみました。
オフのときに比べ、白い部分は白。
黒い部分は黒で表現されるようになりました。
スキャン速度はそれほど変わらないので、スーパーファインでモノクロの原稿を取り込む場合は、文字くっきりをオンにしておくほうがよいかもしれません。
続いて最高解像度のエクセレントでスキャンした結果です。
スーパーファインに比べノイズが少なく、淡い部分まで表現できているのがわかります。
ただ、その分紙自体の色や裏写りまで取り込んでしまっているみたいです。
文字くっきりをオンにしてみました。
すると白は白、黒は黒でくっきりとした画質になりました。それでいて細かい表現もそのままなので、大切なマンガなどに向いています。
エクセレントで白黒で取り込んだ場合です。
スーパーファインの白黒では、あまり高画質ではなかったのですがエクセレントの白黒モードはかなり高画質。
意外とマンガのような細かい濃淡もエクセレントの白黒モードでは表現できます。
なので、メリハリが効いた画質でマンガや文字を読みたい場合に向いています。
白黒モードだと文字クッキリのオンオフはあまり違いがないようです。
出来ればエクセレントでスキャンしたいところですが、高解像度でスキャンするとファイルサイズも大きくなります。
①スーパーファイン グレーで保存
182KB
②スーパーファイン 白黒で保存
83KB
③エクセレント 白黒で保存
159KB
④スーパーファイン カラーで保存
160KB
⑤エクセレント グレーで保存
408KB
エクセレント グレーがこの中では最も高画質ですが、ファイルサイズはスーパーファインの2倍以上になっています。
白黒モードは逆にファイルサイズが小さくなるようです。
スーパーファインとエクセレントでは、横に並べて比較してみると明らかに画質が違います。
なるべくならエクセレントで保存しておきたいものですが、スキャン速度がぜんぜん違うのです。
上の動画でも紹介していますが、スーパーファインだと10枚の原稿をスキャンするのに18.2秒しかかかっていません。
これは1枚あたり1.8秒程度。
ところがエクセレントにすると59.1秒もかかりました。約3倍です。
1枚あたり6秒ほどかかっています。
300ページの原稿だと、1,800秒。
30分もかかります。
ただ、何冊かスキャンして判明してきたのは、時間をかけてでも高画質化するだけの価値はあるかな。ってこと。
ScanSnapは一応、一度に原稿を40枚までセットできますが文庫本のような薄い用紙の場合は、60枚はセットできるようです。
350ページほどの文庫本であれば、紙を補充していく回数はだいたい6~7回ほど。
なので、エクセレントに設定して、スキャンしている間はなにか作業をしながら(次の本の裁断など)・・・のように、別の作業をしながら効率良く作業を進めていくのがオススメです。
エクセレントでスキャンするとファイルサイズが、スーパーファインの2倍以上になってしまう可能性がありますが、その場合圧縮率を揚げてやります。
これも何度か試してわかったことですが、スーパーファインで圧縮率が低いものより、エクセレントで圧縮率が高い設定のほうが高画質です。
圧縮率は1~5の5段階で設定できるのですが(数字が大きいほど圧縮率が高い)、ファイルサイズはかなり違ってくるのですが、見た目はそれほど変わらない印象を受けました。
そのため、エクセレントでスキャンし高圧縮でファイルサイズを小さくする邦画ベスト。
文字のみの書籍 (後でOCRをかける場合) | ・エクセレント 1200dpi ・白黒 ・文字くっきり |
表・グラフ・イラスト入りの書籍 | ・スーパーファイン 300dpi ・グレー ・文字くっきり |
文庫本サイズの漫画 | ・エクセレント 600dpi ・グレー ・文字くっきり |
その他のサイズのマンガ | ・スーパーファイン 300dpi ・グレー ・文字くっきり |
雑誌 | ・スーパーファイン 300dpi ・カラー ・文字くっきり オフ |
OCRソフトなどで文字を認識させる場合、より高解像度のほうが認識率は高いようなので、時間がかかりますが「白黒」の「エクセレント」でスキャンしています。
白黒モードのエクセレントは、解像度が1200dpiとなります。
また、スマホやタブレットで漫画を読む場合、300dpi程度の解像度でも十分綺麗なのですが、今後、より大画面で高解像度のモニターが登場する可能性もあるので、気に入った漫画は600dpiでスキャンしています。
雑誌なんかは、どうせすぐに情報が古くなってしまい、あまり保存する意味合いがないので、低解像度でスキャンしておく程度でいいでしょう。
ScanSnapではスキャンしたデータを自動的に保存してくれますが、その時のファイル形式を選択できます。
PDFかJPEG画像のどちらかになります。
またスキャン後に起動するアプリによっては選択できない場合もあります。
PDFを選択した場合、画像から文字を識別してテキストデータとして文章を埋め込むこともできます。
この場合、文章をパソコン上でコピーしたり検索したりすることができますが、PDFを作成するのに時間がかかります。
ただし、あまり文字の認識率がよくないので、私の場合は別売のOCRソフトを購入して、認識させています。
原稿サイズの設定です。
ScanSnapは、基本的には原稿のサイズを自動的に判別してくれるのであまり設定する必要はないでしょう。
スキャン後に保存するファイル(PDFかJPEG画像)の圧縮率を決定します。
数値が小さいほど圧縮が小さくなり高画質のまま保存できますが、その分ファイルサイズが大きくなります。
大抵の場合「3」で十分だと思います。
スキャン後にAcrobat Xを立ち上げるように設定しておくと、このようにスキャンした結果がAcrobatに送られて起動します。
Acrobat XはScanSnapに無料で付属しているので、3万円ほどするソフトが無料で使えるのでかなりお得かもしれません。
ただし、スキャンして文字認識させた場合でも文字の修正はできないみたいです。
こちらは読み取り革命というOCRソフトを指定した場合です。
このようにスキャンデータが渡された状態で起動するので、このまま加工したり文字を識別させたりすることができます。
ScanSnapはまとめて原稿をセットしても、きちんと1枚1枚読み込んでくれます。が、裁断がうまく行われてなくて、2枚同時に吸い込んでしまった場合もちゃんと知らせてくれます。
もし、2枚同時にスキャンしてしまった場合はこのように、スキャンしたデータを削除するかそのまま保存するか選択できます。
今までのところ、文庫本のようなある程度厚みがある紙だと、それほど2枚同時に吸い込まれることはないのですが、カラー雑誌のようなペラペラしてつやがある紙は、頻繁にエラーになります。
なので最近は雑誌は、紙の本ではなくて電子書籍版を購入しています。
以上がScanSnapの設定方法と設定により原稿がどのようにスキャンされるかの比較です。
以前使っていたキャノンのDR-2050に比べると設定項目が少なく、画質も微妙に落ちるScanSnapですが、使い勝手は上々。
なにより1枚1枚確実に読み込んでくれ、傾きも少ないのでストレスがたまらないです。
DR-2050のときはスキャンするペースがゆっくりだったんですけれど、ScanSnapにしてからはガンガン自炊しています。
マンガや雑誌などは、あまり悩まずスーパーファインのグレーか、エクセレントで保存していけばいいでしょうし、ファイルサイズを優先するか画質を取るかで設定するのもいいと思います。
いずれにしろ電子書籍販売が普及するのはまだまだ先のことでしょうから、今のうちから紙の媒体を自炊しておくのも面白いものです。
何より部屋がめちゃめちゃ片付きますし。
さて、今後は、スキャンしたデータをどのように活用するか。についても詳しく検証していきたいと思います。
最終更新日 2016-12-30 0:40
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投稿日:2012-07-02 | | |