SIMフリーのiPhoneがApple Storeから発売されました。MVNOのSIMと組み合わせたり、海外に行くことが多い人には、大幅に維持費を安くすることができるかもしれません。
Last update 2013/11/24 02:00
Apple Storeで、なんとiPhone5sのSIMフリー版が発売されたようです。
参照:Apple Store iPhone5s SIMフリー版
SIMフリーとはなんでしょう?
ドコモやau、そしてSoftBankなど携帯電話のキャリアが販売しているiPhoneやアンドロイドは、基本的には購入した会社のSIMカードしか使えません。
こうした制限のことをSIMロックと言ったりしますが、国外の製品にはこうした制限がない端末が販売されていたり、ハード的な改造やソフトウェア的な改造で、こうしたロックを外すことができます。
このようなどの携帯会社のSIMでも使える端末のことを、SIMフリーといいます。
日本では、スマホが登場する以前から携帯端末は、購入した携帯会社のSIMしか使えなかった、つまり、SIMロックがかかっていたわけですが、携帯会社はユーザーにこうした制限をかけ安易に他社に乗り換えできない代わりに、スマホなどの端末代を大幅に値引きすることが出来きたわけです。
あとでも紹介しますが、SIMロックと言う仕組みがなかった場合、もしくはない国の携帯やスマホ代は、めちゃめちゃ高いんです。
例えば、今回発売されたApple StoreのSIMフリーのiPhoneは、iPhone5s 16GB版で、71,800円というとんでもなく高い金額になってしまいますが、新規でドコモやau、SoftBankのSIMロックが掛かったiPhone5s 16GBを契約した場合は、本体価格は0円となっています。
SIMロックがかかったiPhoneのデメリットは、契約している携帯会社を変更できない。という点と、音声やパケット定額プランの同時契約が必須ということ。
他社のSIMが使用できないというのは、そもそもそれほど多くの人が、携帯会社を変えたがっていると思っていないので、それほどデメリットではないと思います。
私のまわりでも、今まで「携帯会社変えようかな~」なんていう友だち、知りあい、同僚は1人もいませんでしたし。
じゃあ、何がデメリットかというと、高いパケット定額プランの2年契約が必須ということだと思います。
ユーザーの中には、「SkypeやLINEで通話するから音声通話は必要ない」とか「屋外ではインターネットは使用しないので、パケット定額はいらない」なんていう人もいるかと思いますが、現状ではドコモやau、SoftBankから発売されたiPhoneやスマートフォンでは、音声通話プランとパケット定額プランは必須になっています。
まぁ、そのおかげでiPhoneの端末価格が安くなるのは、先に述べたとおりです。
SIMフリーとはいえ、すべてのSIMが使えるとは限らないようです。
例えば、ドコモのiPhone用SIMの場合、spモードメールは使えない。とか、iPad用のSIMは、音声通話用ではないのでデータ通信しかできない。とか。
使えるSIMに関しては、こちらが詳しい。
au版iPad AirのSIMカードを検証!iPhoneではLTE不可、Androidでは通信不可に
ではSIMフリーだと、何が得なんでしょうか?
ドコモやau、SoftBankのSIMを自由に交換できる、といっても、自由に交換するメリットなんてあるのでしょうか?
一番のメリットは、月々の料金が安いMVNOと呼ばれる、低速データ通信回線用のSIMを利用できるってことでしょうか。
iPhoneやスマホを使っている人の中には、
と言った不満を抱えている人が、割と多いようです。
例えば私の場合も、自宅や会社はWi-Fiがあるし、通勤もバイクなのでiPhoneは使わないし、そのために毎月毎月5460円のパケット定額料金を払い続けるのもなぁ。なんて感じているわけです。
参照:iPhone5sとiPhone5cの料金
電話自体も、今ではLINEを始め、050PlusやSMARTalkのような050ではじまる、安い通話料のアプリが登場しているので、音声通話はなくてもいいや。なんていう人も多いかと思います。
しかも、iPhone同士だとFaceTimeオーディオを使えば、24時間無料で通話することもできるし。
参照:fusion IP Phone SMARTと050Plus、Skypeの比較
ツイッターなどでは、スマホは料金が高い!なんてつぶやいている人もいますが、実際には先進国の中ではイギリスに続き安く、月々の平均的な維持費は7,280円なんだそうです。(イギリスは、6350円)
オーストラリアなどはSIMと携帯電話本体が別々、つまり最初からSIMフリーな国なんですけれど、1ヶ月あたりの維持費は11,410円と、日本より4000円ぐらい高いそうです。
つまり、SIMロックがかかっていたほうが、安く利用できるってわけですね。
ちなみに私なんかは、昔(7~8年前)、スマホが登場する以前は、携帯代が2万円ぐらいかかっていたので、今のスマホの料金はすごく安く感じます。(笑)
MVNOとは、Mobile Virtual Network Operatorの略で、ドコモやSoftBankのモバイルデータ通信網の一部を借り、安くデータ通信サービスを提供している事業者のこと。
主にドコモの回線を利用しているので、電波のエリアの広さは保証付き。
ただ、あくまで一部を利用しているだけなので、回線速度がものすごく遅かったり、音声通話がついてこなかったり、といった制限があります。
その代わり、1ヶ月480円からのプランがあったり、音声通話プラン付きでも1,638円のプランがあったり、と、あまり使わないから安いほうがいい。というようなユーザーにはもってこいのサービスなんです。
今までのiPhoneでは、SIMロックがかかっていたので、こうしたMVNOのSIMは使えなかった(一部使えるという声もありましたが)のですが、Apple StoreのSIMロックフリーのiPhoneの登場によって、MVNOのSIMで使える可能性が出てきました。
主なMVNO | 月々の料金 | 特徴 |
---|---|---|
ServersMan SIM LTE 100 DTI |
490円 | ・速度:100kbps ・SMSオプションあり ・LTE対応オプションあり |
U-mobile*d ダブル・フィックス U-NEXT |
714円 | ・速度:112.5Mbps ・SMSオプションあり ・制限:1GB/月まで714円 |
モバイル ONE SIM OCN |
980円 | ・速度:112.5Mbps ・制限:1日30MBまで ・制限超過後は200kbps |
スマホ電話SIM フリーData 日本通信 |
1,638円 | ・速度:200kbps ・音声通話・SMS付き ・追加料金で112.5Mbpsに |
U-mobile*d スタンダード U-NEXT |
1,764円 | ・速度:112.5Mbps ・SMSオプションあり ・制限:3GB/月まで |
Nexus5 イー・モバイル |
3,880円 | ・速度:75Mbps ・音声・SMS付き ・制限:5GB/月 ・Nexus 5付き |
実際には、MVNOを提供している会社やサービスは無数にあるのですが、実質的に使えそうなプランは、上記の5つぐらいでしょう。
SMSとは、電話番号で送れるメールのことで、ドコモのショートメール、auのCメールのことです。
LINEやFacebookに新規登録する場合、SMSの受信が必須になってくるので、使いたい人に取ってはSMSが使えるかどうかは、大きく影響してきます。
速度の100kbpsは、112.5Mbpsとは単位が違うことに注意してください。
「kbps」は、「Mbps」の1000分の1。つまり、100kbpsは、0.1Mbpsとなります。LTEの理論上の最高速度は、112.5Mbpsですが、実質的には5~25Mbpsほどしか速度は出ません。
パケットデータの使用量の制限は、私の使い方だと、1ヶ月に使用するパケット通信データ量は、700MB程度でした。
上にあげたプランは、同じ料金で比較した場合、最もパケットの制限が大きいものです。
1ヶ月の料金が490円と、破格の安さが魅力。その代わり速度が100kbpsしかでない。
月々150円をプラスして、SMSが使える。
また、263円で100MBまで。1,315円で500MBまで。2,630円で1GBまで3Mbpsに速度がアップするターボ機能あり。
電話殆ど使わず、主にWi-Fiで接続する人や、お金をかけたくない人、お試しで使いたい人向け。
714円という破格の価格で、LTE(112.5Mbps)が1GB/月まで使える超お得なプラン。
月々150円でSMSが使える。
1GBを超えると、2,079円(~3GBまで)になる2段階定額プラン。3GBを超えると128kbpsに制限。
初期費用:3150円。
個人的には最もお勧めなMVNO。音声通話が使えなくてもいい人、それなりに屋外で高速通信を楽しみたい人向け。
1ヶ月のパケット量が1GBを超える可能性が多々ある場合、以下の「モバイル ONE SIM」の方がいいかもしれない。
他のMVNOが、パケット量の制限が月極なのに対し、日単位。
1日30MBまでLTEの112.5Mbpsの速度で通信ができる。ただし、30日間で30MBx30日=900MBなので、上の「U-mobile * d ダブル・フィックス」の方が料金的にもお得。
パケット通信速度が遅く、魅力がないが、音声通話・SMS付き。音声通話は30秒21円。
月々315円の追加で100MBまで。1,260円の追加で500MBまでLTE(112.5Mbps)での通信が可能(ただし、逆に高く付くのでおすすめできない)
音声通話・SMS付きで、最も安いプランになります。ただし、パケット通信は遅いので、電話としても使いたいが、主にWi-Fiで使う人(主婦や学生)向け。
音声通話がないが、LTE通信時のパケット制限が3GBと大きいMVNOでは最安。
月々315円でSMSをつけることが可能。
通話は050PlusやSkype、LINEなどで済ませている人で、屋外でもガンガン使いたい人向け。
NVNOではないのですが、月々の料金(端末代込み)が3,880円とドコモの6,555円よりも2,670円も安く、なおかつ最新のアンドロイド端末Nexus5も使えて、電話もメールもパケット通信もドコモやau、SoftBankと同じように使えるマニア向けプラン。
2年間の総費用は若干上がってしまうものの、アンドロイドとiPhone、好きな方を利用できるのは魅力。また、月々500円でイー・モバイルやSoftBankへの通話が24時間無料という、MVNOの弱点の音声通話+無料通話が強化されている。
イー・モバイルもドコモやauのような携帯会社なんですけれど、パケット定額や割引が大きく、最新のNexus5の端末代を含めても、3,880円/月という破格の価格なので、一応紹介してみました。
iPhone5s SIMフリー版で使用できるかは未確認ですが、使用できた場合、Nexus 5をヤフオクなどで売ってしまえば、2年間の総費用は抑えることも可能だと思います。
他のMVNOと違い、MVNO特有の制限がないので、普通のドコモのiPhoneのように使用することが出来る点が魅力。
さて、では、各MVNOサービス+SIMフリーのiPhoneの組み合わせの場合、どれくらい得になるのでしょうか?比較してみました。
まず、比較対象として、ドコモのiPhone5s 16GB版を新規で購入し、2年間(24ヶ月)使用した場合を例に取りたいと思います。
※事務手数料などは除いています
ドコモ iPhone5s 16GB 新規購入 |
1ヶ月の料金 | 2年間の料金 |
---|---|---|
iPhone5s 16GB本体価格 | 0円 | 0円 |
音声通話基本料 | 780円 | 18,720円 |
インターネット接続料 | 315円 | 7,560円 |
パケット定額プラン | 5,460円 | 131,040円 |
合計 | 6,555円 | 15万7320円 |
続いて、2年間使い続けた場合とiPhone5s 16GB SIMフリー(7万1800円)との合計。
また、ドコモの2年間との差額の比較です。
主なMVNO | 2年間の支払額 | iPhone5sとの合算 |
---|---|---|
差額 | ||
ServersMan SIM LTE 100 DTI |
11,760円 | 83,560円 |
73,760円 | ||
U-mobile*d ダブル・フィックス U-NEXT |
17,136円 | 88,936円 |
68,384円 | ||
モバイル ONE SIM OCN |
23,520円 | 95,320円 |
62,000円 | ||
スマホ電話SIM フリーData 日本通信 |
39,312円 | 111,112円 |
46,208円 | ||
U-mobile*d スタンダード U-NEXT |
42,336円 | 114,136円 |
43,184円 | ||
Nexu5 イー・モバイル |
93,120円 | 164,920円 |
-7,600円 |
一番安い「ServersMan SIM LTE 100」の場合、2年間の合計が83,560円。
24カ月で割ると、1ヶ月あたり約3,482円。
月々3,500円程度でiPhone5sが使用できるのは魅力かもしれませんね。
さて、最後にMVNOの弱点をあげておきます。以下のデメリットをクリアできるのであれば、SIMフリー版のiPhoneの方が2年間の総支払額を抑えることが出来ます。
MVNOの最大の弱点が、音声通話付きのプランが殆どない点。また、あったとしてもSoftBankのホワイトプランのように、同キャリア同士なら無料通話、というようなサービスもありません。
そのため、電話をかける必要が多々ある人は、MVNOはそもそもむいていません。
ただ、050PlusやSkype、LINEなどの音声通話は使えるので、そうしたアプリの通話で十分な人には検討の価値はありです。
MVNOの最大の弱点の1つ。「 @docomo.ne.jp 」や「 @ezweb.ne.jp 」といった携帯メールが使えません。
電話番号で送れるSMSは、オプションで提供しているところもありますが、SMSは70文字以下で、写メなどファイルを添付して送ることが出来ないので、注意が必要です。
ただし、現在ではメールの代わりにLINEでやりとりできるのと、iPhoneにはiOS同士であれば無料でメールが使えるiMessageがあるし、GmailやiCloudのメール等が使えるので、代替は色々あります。
Mixiのように、携帯メールが受信できないと会員登録が出来ない。というサービスも少なくなってきたので、あまり困らなくなりつつあります。
ドコモやau、SoftBankは2年間、公衆無線LANが無料で使えたり、自宅のインターネット回線と組み合わせることで割引ができたり、といったサービスが利用できません。
MVNOは、ドコモの回線の一部を借りて提供されるので、ドコモの回線を100%発揮できるわけではないようです。そのため、時間帯によっては回線速度がすごく遅くなったりすることもあるようです。
MVNOのSIMを利用するためには、アクセスポイントの設定などを自分でしなければならず、初心者には難易度が高いです。
今までSIMフリーのiPhoneを入手するには、外国のSIMフリー版を輸入しているお店で購入するか、ヤフオクで購入するしかありませんでしたが、こうしたiPhoneは価格も高く、保証が無かったり、といった弱点がありました。
それがAppleから正式に販売されることによって価格、保証ともに安心できるレベルになりました。
使い方次第によって、MVNOと組み合わせれば2年間の維持費をかなり安くすることもできることがわかりました。
私は、というと、私のまわりの友人や同僚はほぼ90%がSoftBankユーザーで、電話を使用することも非常に多いため、私にはあまりSIMフリーのiPhoneは魅力ではないです。
ただ、SoftBankのガラケーを980円のホワイトプランで持ち、MVNOでiPhoneをもつ。という2台持ちにするのであれば、価格のメリットを恩恵できるかもしれません。
また、かいかえ割やのりかえ割、家族割などを考えると、実際にはSIMフリー版とMVNOの組み合わせはすごい安い、というわけではないような気がします。
SIMフリーのiPhoneのメリットを最大うける人は、頻繁に海外に旅行に行く人、または仕事で滞在する人でしょうか。
ドコモやau、SoftBankのiPhoneでも海外で使用できますが、1日のパケット代が数千円になってしまうので、現地のプリペイドSIMを購入したほうが安く維持できるのでしょう。
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2013/11/24 02:00 | | |